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★Latchkey Child★

★Latchkey Child★

泣けない  -2-


いつの頃からか、別れよりも片思いの詩が多くなった。

バーチャルで作り上げた人のほうが多くなったかもしれない。

でも、本当に好きになった人への詞も書くことができた。

でも、別れの詞。

いつも、ワタシから別れを切り出していた。

もしくは、追い出されるという詞。

幸せな結末は、まだ書けなかった。

そして、詞を書いてもワタシは泣けなくなった。

心では泣いていた。でも、もう声にすら出なくなった。

そのかわりに、大声で歌を唄い。辛くても笑っていた。

部屋で大声で歌を歌うたび、心でナミダを流していた。

辛くても、友達と笑いあうたびに 笑顔のナミダを流した。

人からは「良い人だね」 「大好きだよ」と言われるようになった。

ただ、人を好きになれなくなった。
愛せなくなった、それだけ。

誰も気付きはしない、この事実に。

ワタシは、聖羅を生み出したのかもしれない。

聖羅が、一番の理解者だと感じていたから。

聖羅は、ネットで自分の思いをスラスラと詞に読みあげた。

苦しみや、悲しみを1番敏感に感じれた。

聖羅と、ワタシは鏡。ただし、全く正反対の。

雨が降ると、自然と悲しくなった。

いやなことが全部流れていく気がしたから。

全部全部、流してしまえと思った。

あの日も、雨だった。その人の少しホッとした顔が頭の中に出てくるたびに。

心のナミダが、あふれていった。

そして、そのナミダを聖羅は1つの詞に書き上げる。

もう、愛する人なんていらなかった。

また別れてしまうならば、もう苦しみたくなかった。

1人逃げてしまえばよかった、死にたかった。

何度も、そういう詞を書いた。ワタシの心はワタシ(聖羅)が1番知ってるから。

雨が降る、この日。

ジャンヌダルクの音楽を聞きながら、無意識のようにタイプしているワタシがいる。

声にならない声をあげ、泣いているワタシがいる。

そして、それを静かに見下ろしている聖羅がいる。

悲しいことだけど。それが事実。

笑顔のワタシが、本当に笑っているのか。

それは、ワタシすら知りえない。

「大丈夫」「気にしてない」そのコトバがワタシを支えてる。

その人のこともう「気にしてない」そうやってワタシはまだ心の鎖を1つ増やす。

黙っていればわからない。

聖羅が、誰なのかも。
聖羅の中にいるワタシがどんな存在なのかも。
醜くて、わがままで最低な人物。

なのに、それなのに。なんで恋愛をする価値があるの??

毎日、そうやって問い掛けてる。

静かな部屋に1人いる時が1番安心している聖羅(ワタシ)が。

まだ、ここにいる・・・・。


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